1970年,建築物における衛生的環境の確保に関する法律が制定された。同法は,多数の者が使用又は利用する建築物について,環境衛生上の維持管理に関して必要な規制を加えることにより,居住者の健康の確保を図ることを目的としている。なお,建築物の高度化・多様化が進展する現在,建築物衛生法に基づく衛生管理により,衛生水準が向上するとともに,その役割がより一層重要とされている。このため,本稿では,建築物衛生法の概要について解説した。また,近年,建築物衛生の観点から対応が求められて課題として,保健所の建築確認時審査のあり方について,より現状の管理に対応したマニュアル作成が求められていることも示唆した。さらに,法制定以来の懸案となっている一般住宅や社会福祉施設などへの対策や,特定建築物の規模の拡大についても検討が必要であることを提案した。