大腸菌を正確・迅速・簡便に検出するために,遺伝子組換えファージを用いた新しい方法を開発した。大腸菌としては,E. coli K12,およびE. coli O157:H7の2種類を,また,ファージとしては,それぞれに選択的に感染するT4,およびPP01を用いた。これらのファージにS. cerevisiae IAM 4178由来のチトクロムcペルオキシダーゼ遺伝子を相同組換えの手法で導入した。大腸菌に遺伝子組換えファージが感染することによって生成される酵素に,基質としてチトクロムcを添加し,酸化反応の結果生じる赤色から黄色への変化を測定することで,大腸菌を検出することができた。さらに,このファージを用いた検出法と,従来から微生物濃度を定量するために用いられてきたMPN法を組み合わせることで,サンプル中の大腸菌濃度を定量可能であることを確かめた。