建築物では,冷房のために冷凍機,冷却水が使用される。冷却水は濃縮,水温,日射などの要因があるため,微生物,スケール,腐食が起きる。微生物による障害は,藻,細菌,カビによるスライム(バイオフィルム)と,レジオネラがある。スライムは,熱交換効率を低下,水の流路閉塞,スライム下の腐食を招く。レジオネラは冷却塔から細菌が飛散して周囲やビル内の人に感染し,レジオネラ症をおこす。冷却水の微生物対策は,スケール・腐食対策と併せて行い,薬剤(バイオサイド)を使用する。バイオサイドには,酸化性と非酸化性(有機物)の様々な物質がある。水処理薬剤を冷却水システムの特性に合わせて適正に注入し,微生物制御,スケール・腐食防止を行う。処理を行っても,微生物障害が起きることがあり,特にレジオネラ属菌は,健康被害を起こす恐れがあるので処理目標を守る必要がある。処理不良の場合は,要因を検討して対策にフィードバックする。