低圧水銀ランプ(LP)を比較対照とし,高出力低圧水銀ランプ(HOLP),中圧水銀ランプ(MP)のスギ花粉アレルゲンおよびダニ由来アレルゲンに対する不活化効果とその機構を検討した。その結果,3種のランプともスギ花粉およびダニ由来アレルゲンの標準品に対し不活化効果を有することがわかった。照射エネルギー量に対する不活化効果を比較すると,LPとHOLPは同等であったが,MPはLP,HOLPよりも少ない照射エネルギー量で顕著な不活化効果を有した。また3種のランプは実際に採取したスギ花粉およびダニ由来アレルゲンに対しても不活化効果を有し,特にMPは高い不活化効果を有したことから実用性が高いと判断された。3種のランプで紫外線を照射したスギ花粉アレルゲン標準品(Cry j 1,Cry j 2)をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)で分析した結果,各ランプにより違いがあるが,アレルゲンを構成するタンパク質の一部が変性または分解を受けたことが不活化機構の一つであると推定された。