化粧品は多回使用されるものが大半で,防腐力が付与される製剤が多い。一方で多種多様な製剤があり,防腐力の評価には対象に応じた工夫や配慮が必要となる。本稿では日本薬局方(以下JP)参考情報に記載されている保存効力試験法を中心に,ISO11930やかび抵抗性試験にも触れながら,化粧品製剤を評価する手順や試験例を解説した。
連続相が水性の製剤:化粧水,乳液,クリーム,シャンプー,ヘアコンディショナー,リキッドファンデーションなどはJPのカテゴリーⅠに該当し,連続相が油性の製剤:クレンジングオイル,日焼け止め,油性ファンデーション,口紅など,及び粉体製剤:パウダーファンデーション,アイカラーなどはカテゴリーⅡに該当する。試験方法はいずれも大きく変わらないが,バルク粘度の高いものや油性・粉体製剤は接種菌液の混合や生菌数測定に配慮が必要である。また,防腐力が生菌数測定に影響しないよう,試験適合性を必ず確認する。