保存効力試験法は,日本薬局方の参考情報に収載されており,点眼剤等の多回投与容器中に充填された製剤自体又は製剤に添加された保存剤の効力を微生物学的に評価する方法であり,その目的は,製剤に試験の対象となる菌種を強制的に接種,混合し,経時的に試験菌の消長(減ったり増えたりすること)を追跡することにより,保存効力を評価することにある。また,保存効力試験法は,日本薬局方のほか米国薬局方(USP)には「Antimicrobial Effectiveness Testing」として,欧州薬局方(Ph. Eur.)には「Efficacy of antimicrobial preservation」として収載されているが,それぞれ製剤区分,試験菌株,菌数測定間隔,判定基準などが少し異なっているため,注意を要する。
本稿では,主に「第十七改正日本薬局方 参考情報 G4.微生物関連 保存効力試験法」について,三薬局方(日本薬局方,米国薬局方及び欧州薬局方)における違いにも触れながら試験方法の概要を解説する。