本研究は,従来の日本のサンプリングプランの性能を,対象微生物の模擬物質として蛍光ラテックスビーズ(F-LB)を用い,実際の食品中の対象微生物の分析サンプルへの存在率を検証した初めての論文である。
まずF-LBを対象微生物のモデルとして効率よく検出する方法を構築した。次に我が国で行われているサンプリングプラン(1kgから25g採取,n数が1)による分析サンプルへの存在率を推測し,その性能を評価した。その結果,食品1kgに106cfu程度菌が汚染していても,分析サンプルへの分布は不均一で,少ないn数では高い確率で検出することは難しいことが検証できた。
このことからサンプリングプランを選択する場合には,ロット中の対象微生物の平均汚染濃度に応じて確実に検出でき排除できる分析サンプルの採取数を,予め検討する必要があることが考えられた。