昨今の食品業界では,これまでに発生した食品への人為的な異物混入事件を受け,食品や供給工程へ人為的・意図的に異物や毒物を混入されることを防御する「フードディフェンス」という活動に注力する企業が増えてきている。本文では,フードディフェンスの観点からの予防活動を模索・検討するための一助となるように,多くの食品関連工場で衛生管理の支援業務に携わっている弊社の立場から見たフードディフェンスに取り組む際のポイントとして,自社の製品や製造工程の特徴やそれを取り巻く状況を把握した上で,意図的に異物を製品に混入させやすい実際の場所や工程をシミュレーションし,最終的にその企業オリジナルのフードディフェンスプランを構築することを説明する。また,それらの参考情報として様々な業態の食品製造企業における具体的な活動事例を紹介する。