微生物限度試験法は汚染微生物評価に用いられるが,非無菌製剤である化粧品は製造時での微生物汚染が否定できず,また多様な原料や構造を持つため,微生物の検出に対する影響から適正な実施を困難にしている。そこで我々は化粧品を対象とした微生物限度試験の適正実施を目的に,SDカンテン培地のカビ検出性能と,特定微生物鑑別用選択培地の陽性菌株(P.s,S.a,E.c)による鑑別反応の検出性能について評価した。SDカンテン培地は,活性剤多配合の製剤でカビの出現に時間が掛かるまたはカビが出現しなかった。性能向上には,希釈溶媒やSDカンテン培地への不活化剤添加と,平板とする培地を増量することが有効であった。また選択培地は発色の発現と持続性に差が認められ,性能改善には平板とする培地を増量することが有効であった。化粧品を用いた微生物限度試験は,培地の検出性能を把握し改善することで適正に実施され,それにより化粧品の微生物学的品質向上にもつながると考えられた。