ファージにより病原菌をコントロールする治療法(ファージセラピー)を目指し,大腸菌O157:H7と黄色ブドウ球菌特異的ファージをスクリーニングし,解析した。都市下水流入水や健康な牛糞や豚糞から比較的普遍に大腸菌O157:H7関連遺伝子とその特異的ファージが検出された。ファージを添加すると,O157が溶菌した。しかし培養を継続するとO157がファージに対し耐性化し,再増殖した。ファージの混合液(カクテル)を用いると耐性菌が出現するまでの時間が遅延するか,出現を抑制することができた。乳房炎罹患乳牛から分離した黄色ブドウ球菌に感染するファージを都市下水流入水からスクリーニングした。IgG依存的に黄色ブドウ球菌は凝集塊を形成した。凝集塊の形成は宿主のファージ感受性の低下,ファージの最小生育阻止濃度の上昇,およびファージ耐性菌の出現の促進をもたらした。