接触感染には,環境表面上で長期間生存できる「耐乾燥性微生物」がかかわっていることから,ヒトの生活環境下での各種微生物の生残性を評価した。微生物の生残性は有機物・無機物の有無によって大きく変化するが,これまでの報告では,培養液中の有機物・無機物の存在が考慮されていなかった。そこで本報では,吸引ろ過や透析処理によって培養液中の有機物・無機物を除去したものを用いてヒトの生活環境下での生残数を計測した。結果,細菌・真菌類ではMycobacterium terraeが最も生残性が高く,1週間後も生菌が確認された。ウイルスでは,Feline calicivirusが乾燥に対して強い抵抗性を有し,特に有機物存在下では,4週間後も培養細胞への感染が確認された。以上の結果から,接触感染を防ぐためには,「耐乾燥性微生物」の存在を意識して環境表面を清浄・消毒しなければならない。