富有柿幼果の黒麹菌発酵物においてそれぞれの機能性に対する熱処理の影響を検討した。同発酵物に対し湯浴,オートクレーブ,乾熱器を用いた熱処理を行い,β-リパーゼ阻害活性をはじめとした機能性への影響や成分の変化を調べた。結果,同発酵物は120℃,140℃,160℃,20分の加熱によりβ-リパーゼ阻害活性およびDPPHラジカル消去活性が増加した。未発酵の富有柿幼果もまた熱処理により同様の傾向を示したが,ポリフェノール量や成分では発酵物とは相違が見られた。これらの結果は富有柿発酵物および幼果において,熱処理が機能性増強のための加工法となる可能性を示し,利用形態や摂取法の多様化につながることが考えられた。