昨今,会社内部の従業員が引き起こす,食品への悪意ある異物混入事件が多発している。これらは,常識を逸脱した従業員個人が起こした「内部犯行事件」だが,本質は会社の「不適切な労務管理問題」が根底にあり,会社内部から食品防御を崩してしまった。
ここで3つの問題を提起する。
Q1.このような内部犯行事件を防ぐには,どのようにすればよいか。
A.会社で働く従業員の満足度やモチベーション向上を最優先すべきである。
Q2.食品防御(フードディフェンス)と労務管理の関連性はあるか。
A.大いにある。いくら立派な制度やシステムを入れても,それを動かすのは人間である。人間は感情を持った生き物であり,モチベーションの有無で行動は激変する。従業員の「心の問題」=労務問題をまず考えなければ食品防御(フードディフェンス)は成り立たない。
Q3.意図的な異物混入事件が起きた食品工場だけの固有の問題か。
A.大半の日本企業が同じような「不適切な労務管理」の状態になっていると考えられる。
従業員や顧客も満足し,業績が伸びて企業も成長する「良い会社」を増やすことがフードディフェンス及び今後の日本経済全体を活性化するポイントになるだろう。