Vol.45,No.6 (2017)
- 表題:
- 食品・医薬品・環境分野等の微生物試験法および微生物汚染の制御に関する最近の話題[9]
耐熱性嫌気性芽胞形成菌の検出・同定法とその汚染の制御に関する最近の話題
- 著者:
- 青山好男(前(公財)東洋食品研究所)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.6,pp.323−330(2017)
まず食品変敗原因となる高温嫌気性芽胞菌の特徴や検出技術の概要を述べた。耐熱性がきわめて高く,加温販売される低酸性飲料における制御対象菌であるMoorella thermoaceticaに関する研究を紹介した。本菌は加熱殺菌のみでの増殖防止が難しく,乳化剤である脂肪酸エステルの抗菌作用を併用して制御されている。脂肪酸エステルの作用機構について検討した結果,脂肪酸エステルは発芽後の芽胞に結合,膜に欠損を生じ,コア内容物を漏出させ,死滅させることが分かった。また脂肪酸エステルの化学構造と抗菌力との関係,加熱処理が脂肪酸エステルの作用に与える影響なども述べた。
- Key words:
- Heat-resist anaerobic spore-forming bacteria(耐熱性嫌気性芽胞形成菌)/Moorella thermoacetica(モレラ・サーモアセチカ)/Fatty acid ester(脂肪酸エステル)/Antimicrobial action(抗菌作用)/Food spoilage(食品変敗).