日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.45,No.7 (2017)

表題:
管楽器におけるカビ汚染の現状(原著論文)
著者:
浜田信夫(大阪市立自然史博物館),阿部仁一郎(大阪市立環境科学研究所)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.7,pp.345−351(2017)

165台の管楽器についてカビ汚染を調べるために,拭き取り調査を行った。カビ汚染が,ホルン,トロンボーン,トランペットなどの金管楽器にしばしば見られた。木管楽器に比べて金管楽器にカビが多いのは,クラリネットやフルートなどの木管楽器に比べて,水分が曲りくねった管の中に閉じ込められるために,管の内部が湿っていることが原因と思われた。管楽器内に生えるカビはいずれも好湿性のカビで,金管楽器ではPaecilomyces,Fusariumが多く,木管楽器では,Exophiala,Phomaが比較的多かった。優占しているカビの中で40℃で生育するものはなかったが,金管楽器ではカビが繁殖することが多いので,胞子を大量に吸引した場合の健康被害について注意する必要があると思われる。

Key words:
Fungal contamination(カビ汚染)/Wind instruments(管楽器)/Allergy(アレルギー)/Hydrophilic fungi(好湿性カビ)/Fusarium/Paecilomyces.