食品防御については,様々なガイドラインなど出されているが,自社施設をいかに守るかということが中心に取り上げられており,サプライチェーンの中でどのように食品防御を実現していくかは明らかでない。そもそも,食品防御や食品テロといった用語の定義,あるいは食品防御に食品テロを含めるのか含めないのかも定かではない。本稿では,わが国のサプライチェーンの特徴を見た上で,それが食品防御に対して必ずしも強度が高くないことを指摘する。ついで,政治学の立場から,対立する2者の攻撃手法は際限なくエスカレートすること,また,食品工場の誰もが攻撃者になりうることを示す。ついで,食品防御を標的になるのが,組織(職場)であるのかそうでないのか,攻撃の実行者が組織内部であるのか外部であるのかにより4つに分類したうえで,その特徴と対策を示す。