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日本防菌防黴学会誌

Vol.45,No.10 (2017)

表題:
新興・再興感染症[1] エボラ出血熱
著者:
古宮伸洋(日本赤十字社和歌山医療センター 感染症内科部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.10,pp.513−517(2017)

エボラ出血熱は約40年前に発見され,アフリカ中央部から西部地域で流行を繰り返してきている。2014−2016年の西アフリカでの流行は過去最大であり国際的な問題となった。エボラ出血熱はコウモリを自然宿主とする人獣共通感染症であるが,感染者の体液への接触によってヒトヒト感染を起こすため,感染対策が不十分な状態で看護に当たった家族や医療者に感染が広がっていく。感染すると2〜21日(中央値4−10日)の潜伏期の後に突然の発熱などで発症する。無症候性感染は少なく,重症化すると多臓器不全を来し致死的になる。有効性の示された特異的な治療はなく,補液などの支持的治療が中心である。主な感染経路は接触感染であるが,致死的疾患で十分解明できていない部分もあるため空気感染対策まで含めた厳しい感染対策を行う。有効性の高いワクチンが開発されており,今後の流行対策に有用な手段として期待されている。

Key words:
エボラ出血熱/マールブルグ病/感染対策/一類感染症.