ステンレス鋼表面に付着した腸炎ビブリオの除去における亜塩素酸ナトリウム(NaClO2)の作用について,pH 4.0~10.0の範囲で検討した。腸炎ビブリオの除去率はNaClO2水溶液のpHの低下とともに,またNaClO2濃度の上昇とともに著しく上昇した。pH 4.0に調整した2.1 M NaClO2水溶液を用いたとき,80%の除去率が得られた。NaClO2の洗浄効果のpH依存性は,NaClOのpH依存性とは大きく異なった。pH 4.0の0.09 M NaClO2水溶液を用いた洗浄で得られた一次脱着速度定数(k)はアレニウス型の温度依存性を示した。kの見掛けの活性化エネルギーは100 kJ/molと概算された。以上の結果から,付着微生物に対するNaClO2水溶液の洗浄作用は非解離型HClO2の酸化作用に強く依存することが示された。