日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.45,No.12 (2017)

表題:
滅菌機器の規格と現状,今後の展望 5.医療現場における保守・管理方法 (5-3 整形外科領域の感染制御)
著者:
山崎隆志(武蔵野赤十字病院整形外科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.45,No.12,pp.611−617(2017)

整形外科は脊椎,関節,外傷と大きく分類されるが,どの分野においても骨という固い組織を扱うため,スクリューやプレート,人工関節などの大きな金属が使用される。これらは細菌感染に脆弱で,術後感染が抗菌薬により制御不能な場合は抜去が必要となり,術前より患者の状態が悪化する場合もある。したがって整形外科では感染制御は常に重要な検討課題である。
術後感染の細菌侵入経路は,血流,創周囲の皮膚,手術室環境が考えられ,術前に手術部位以外の感染症治療,適切な予防的抗菌薬,ドレープ,洗浄,手術室へ入室制限,手洗い励行などガイドラインに準じて各施設により様々対策が取られている。しかし,術後感染の頻度は準清潔手術の腹部外科より概して低いが,脊椎インストゥルメンテーション手術で2.0%,人工膝関節置換術で1.5%,人工股関節置換術で0.7%と各専門領域から報告され,満足な数値とは言えない。手術器具やインプラントの滅菌も重要な課題で医療機関ばかりでなく器械業者も含めた感染制御体制を作る必要がある。

Key words:
Infection control(感染制御)/Surgical site infection(手術部位感染)/Orthopedic surgery(整形外科).