内視鏡外科手術における手術操作の精度を高めるために用いられる手術支援ロボットは,性能発揮のために適切な保守管理を必要とする。保守管理は,主に始業前点検として実施される日常点検と,納入業者に依頼して実施される定期点検により構成され,その対象はロボット本体,コンソール,映像処理装置である。また操作鉗子の洗浄滅菌も,手術支援ロボットの実施継続のための重要業務である。
機械装置である手術支援ロボットは,故障や不具合と無縁ではない。予定手術の当日にシステムに異常が認められた場合には,調整や修理,あるいは予定していた手術の中止や開腹手術または通常の内視鏡外科手術への移行が迫られる。そのような一大事が発生しないための日常点検と定期点検の徹底や,万一発生した場合の対応を考えておくことは,手術支援ロボットを所有する医療施設の責務である。手術支援ロボットの安定運用と安全使用のために,計画的な保守管理が必要である。