我々はオゾン水の殺菌力に注目し,純水のSPE電解法を用いてオゾン水の作成・研究をしている。今までにこの方法を用いた装置ならびにこの電解法に関する知見を多数報告してきた。今回は,オゾン水の能力アップのための一環として電解液中に各種添加剤の添加を考えた。中でも非イオン性界面活性剤やクエン酸を添加した溶液をSPE電解し,ヨウ素滴定法でオゾン濃度を測定すると,純水電解よりも見かけ上のオゾン濃度が上昇した。一方,オゾン固有の吸収波長である258nmの吸光度を測定する吸光度法では,オゾン濃度は上昇しない。この違いは,ヨウ素滴定では全酸化剤を測定しており,実際のオゾン濃度を表していないことを意味している。そこで,この酸化剤の殺菌力を芽胞菌を用いて測定した結果,オゾンのような殺菌力を示さないことがわかった。したがって,ヨウ素滴定のみでオゾンを測定した結果だけで殺菌力を推測すると危険であることを見出した。本報告では,非イオン性界面活性剤の1つであるエマルゲン130K(花王㈱より提供:ポリオキシエチレンラウリルエーテル)とクエン酸の例を挙げて記述した。