日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.46,No.2 (2018)

表題:
新興・再興感染症[5]
ウイルス感染
HCV Virus Infection and Carcinogenesis (Hepatitis C Virus)
著者:
森屋恭爾(東大医学部附属病院感染制御部),三好秀征,小池和彦(東大医学部附属病院消化器内科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.2,pp.65−68(2018)

C型肝炎ウイルス(HCV)はデングウイルス,ウエストナイルウイルスなどと同様フラビウイルスに属す1本鎖RNAウイルスである。主に血液媒介感染により高率に慢性化し肝発癌との強い関連が特徴である。日本では主に70歳以上の高齢者に感染者が多く分布している。DNAウイルスと異なり遺伝子組み込みを見ないHCV感染による発癌過程には感染したホストに対する脂質代謝,糖代謝,鉄代謝変化と酸化ストレス発生が病態に関連していることが示されている。 抗ウイルス薬剤(Direct Acting Antivirals)により経口投与8−12週によりウイルス排除95%が望めるようになったが,肝臓に存在する線維化改善に時間もかかることからウイルス排除が発癌0と短絡的に考えることなく経過を観察する必要がある。また抗ウイルス剤に対する耐性ウイルスも存在している。

Key words:
HCV/糖脂質代謝/酸化ストレス/加齢/発癌.