家庭における食中毒は,予防3原則の「菌をつけない」「菌を増やさない」「菌をやっつける」に従って対策を徹底すれば多くの場合防ぐことができる。食中毒予防の基本は菌をつけないための手洗いである。洗い方や洗い残しを生じやすい部分を意識して洗浄することが大切である。また調理器具や台所スポンジ等は適切な方法で洗浄・消毒する必要がある。食材や調理済み食品の冷蔵・冷凍は菌を増やさないために有効であるが,低温下でも増殖できる菌がいるため注意しなければならない。菌をやっつけるための有効な手段として加熱操作が挙げられる。しかし食中毒菌の中には,耐熱性エンテロトキシンを産生する菌や耐熱性芽胞を形成する菌が存在するため,加熱操作を過信してはいけない。もし食品を不衛生な環境においてしまった場合は,食品を廃棄するという選択肢を持っておく必要がある。