拭き取りクロスを用いた往復拭き取り操作におけるポリエチレンテレフタレート(PET)板表面からの微生物細胞の除去におよぼす拭き取り速度とクロスの含水量の影響を調べた。往路のみの拭き取りでは,拭き取り速度や含水量は菌体の残留率に影響せず,ほとんどの菌体が除去された。一方,往復拭き取りでは,拭き取り速度とクロスの含水量の増加にともない,拭き取り前に対する拭き取り後の残留菌の割合(菌体残留率)は増加した。また,往路拭き取り操作終了から復路拭き取り操作開始までの間の待機時間の増加にともない,菌体残留率は減少した。以上の結果から,往復拭き取り操作後に表面に残留した菌体は往路で拭き取られた菌体がクロスからPET板に移動したものであることがわかった。往復拭き取り時の残留菌を低減するためには,拭きとられた菌体がクロス繊維表面に不可逆的に付着することが重要であると考えられた。