Vol.46,No.10 (2018)
- 表題:
- 食中毒[7]
嫌気性細菌による食中毒
- 著者:
- 三宅眞実(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科)
- 掲載:
- 日本防菌防黴学会誌,Vol.46,No.10,pp.455−460(2018)
食中毒の原因細菌の多くは空気中で急速に増殖し,これが食中毒の発生の有無に大きな影響を与える。一方,偏性嫌気性細菌による食中毒の場合,原因細菌は酸素がない,あるいは限られた環境でしか増殖しないため,食中毒が発生に至る条件は前者と大きく異なる。また後者の細菌に共通した特徴として芽胞を形成することが挙げられ,そのため一般的な食中毒対策とは異なる視点から食品衛生管理に臨む必要がある。本総説ではこれら嫌気性食中毒原因細菌の特徴と制御法について,新しい知見にも触れつつ解説したい。
- Key words:
- Clostridium perfringens(ウェルシュ菌)/Clostridium botulinum(ボツリヌス菌)/Foodborne botulism(食餌性ボツリヌス症)/Infant botulism(乳児ボツリヌス症)/Spore(芽胞).