食中毒の予防には,食中毒予防の三原則や殺菌料の使用が推奨されている。近年,消費者の天然志向の高まりから,天然素材で抗菌効果をもつ精油が注目されている。精油は植物の花,葉,樹皮等から抽出した揮発性成分を含む混合物である。精油の抗菌効果については,その評価方法が確立されておらず,さらに,精油の揮発性成分による抗菌効果については科学的に詳細に調べた報告も少なく,そのメカニズムも不明である。そこで,精油の食中毒菌に対する抗菌効果の検討を行い,殺菌料としての利用の可能性を検討した。11種類の精油と6種類の食中毒菌の組み合わせでペーパーディスク法にて,精油の抗菌効果を検討したところ,オリガヌム油,ケイ皮油及びハッカ油で抗菌効果が大きいことが分かった。さらに精油の揮発性成分の抗菌効果を検討したところ,オリガヌム油とケイ皮油の揮発性成分で食中毒菌に対して抗菌効果が大きく,また精油の抗菌効果の大部分は揮発性成分に由来していると考えられた。