食中毒原因菌であるSalmonellaの爬虫類における保有状況を検討するため,ペットとして人気があるヒョウモントカゲモドキを対象とした。ブリーダーである一般家庭(K宅)で飼育された成体35匹および幼体27匹の計62匹,およびペットショップ(B店)で市販されていた成体23匹の合計85匹の糞便を対象に分離を試みた。また,分離株について血清型別およびPCR法による病原遺伝子の検出を行った。全体では85匹中29匹(34.1%)からSalmonellaが分離された。その内訳では,K宅で飼育されていた成体35匹中9匹(25.7%)から分離されたが,幼体27匹からはまったく分離されなかった。一方,B店で飼育されていた成体23匹からは20匹(87.0%)と高率に分離された。分離株の血清型別では,K宅から分離された9株のうち3株がS. Arizonaeであった。一方,B店から分離された20株ではS. Flunternが11株と多く,次にS. Adeoyoが5株であった。また,分離した29株すべてがinvAとstnの両病原遺伝子を保有しており,invAあるいはstnのみの保有株は認められなかった。このように,ペットとして飼育されているヒョウモントカゲモドキから病原遺伝子を保有したSalmonellaが分離され,サルモネラ症の感染源となる可能性が示唆された。