ベトナムは東,南と海に囲まれ,また,北部には紅河,南部にはメコン川と大河があるために,昔から水産に頼って生活をしてきた。2000年以降,外貨獲得の手段として,政府の政策によって水産業は急激に発展し,現在の養殖生産高は日本を越え世界第4位である。生産高を上げるために養殖池では高密度養殖を行い,病原菌を防ぐために抗菌剤は使われてきた。本稿ではナマズ,エビ養殖池で頻繁に使用されている抗菌剤としてフルオロキノロン系,テトラサイクリン系,ST合剤を明らかにした。一方でAeromonas,Acinetobacter,Bacillus,Edwardsiella,Escherichia coli,Klebsiella,Pseudomonas,Vibrioにおいて薬剤耐性化していることが明らかとなった。現在ベトナム政府等によって,抗菌剤使用の規制等は行われているが,ベトナムでは小規模養殖池(家庭養殖)が多く,オーナーへの抗菌剤使用に関する教育が今後の課題である。