本研究では,国内の鶏挽肉におけるカルバペネム耐性菌(CRB)の汚染実態及び分離株の遺伝特性を検討した。CRBは226検体中4検体(1.8%)より検出され,Stenotrophomonas maltophilia 1株,Pseudomonas otitidis 2株,P. protegens 1株,P. putida 1株の計5株が分離された。S. maltophilia株及びP. otitidis株はメロペネムに対するMIC値が>64µg/mlと高く,それぞれblaL2又はblaPOM遺伝子を保有していた。他の分離株では,代表的なカルバペネマーゼ遺伝子を認めなかった。本研究は,国内の鶏挽肉製品におけるCRB汚染実態に関する初めての報告である。当該菌の食品汚染を通じた,ヒトのカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の蔓延との関連性把握には,疫学知見の更なる集積が必要であろう。