光線力学療法(PDT,photodynamic therapy)とは,ヘマトポルフィリンのような光感受性物質に特定波長の光を照射することにより活性酸素を発生させ,その酸化力による殺細胞効果を応用した治療法であり,主にがん治療の分野において発展してきた。抗がん治療とは別に,PDTの殺細胞作用を抗菌療法として応用する試みもなされており,PDTと区別する意味でPACT(photodynamic antimicrobial chemotherapy,光線力学抗菌化学療法)あるいはaPDT(antimicrobial photodynamic therapy,抗菌光線力学療法)と呼ばれている。本稿では,PACTに統一して,実際の応用例,既存の殺菌消毒剤に抵抗性を示すバイオフィルムに対する効果,並びに既存抗菌剤で問題となる耐性菌誘導の可能性について解説する。