足白癬の原因の環境中の白癬菌からの再感染を減らすために,感染部位に近い靴の中を殺菌する方法として,低分子で高揮発性の植物精油について検討した。靴内部に入れた白癬菌(汚染菌)に対して,精油(レモングラス油)を滴下する位置と量を変化させて最も効率よく抗菌する方法を検討した。その結果,ビジネスシューズ内に接種された白癬菌分生子に対する抗菌効果は,靴内上部の前後2か所に滴下すると高まること,その際,靴上部を閉じることで,抗菌活性が強まることから,精油の蒸気が下降して靴内全体に拡散していることが示唆された。さらに,この処置は,悪臭の原因菌に対しても,抗菌効果を示すことを示した。これらの結果は,精油成分が繊維などの内部や,入り組んだ構造の裏側にまでに達して抗菌効果を発揮し,靴内部の衛生状態を改善できる可能性を示している。