製品の微生物汚染防止には,微生物制御,特に殺菌に関する技術の確立が必要である。殺菌技術は,加熱処理の有無,次いで薬剤その他の使用などに区分されるが,殺菌を行なう場面を薬剤を使用した方が有効である場合とそうでない場合に大別することも可能であると捉え,使用しない技術を『物理的制御技術』としてまとめることを考えた。2017年施行の日本薬局方第17改正では『無菌』『滅菌』など無菌化に関する用語が通則として定義され,無菌化の達成は方法によらないものとされた。薬剤を使用した場合『無菌』を証明しにくいため,系内に生菌が存在しない『滅菌』には,薬剤を用いない,即ち物理的制御技術の適用が有効となる。それらの理由から,物理的制御に用いられる技術の最先端について,防菌防黴誌上を通じてご教示願いたいと考え,各テーマの学識経験者でいらっしゃる数多くの先生方からご賛同をいただいたことを通じて,本講座を開講できる運びとなった。