災害時着の身着のままで避難してくる避難所は,感染症発生の最大リスクである可能性がある。避難所であるからには「安全」な場所を期待するが,ライフラインの途絶えた避難所は決してそうではない。
衛生環境と食事(栄養)の確保は「安全」を取り戻す基盤となり,それを早く立て直すことが,その後の回復,復興に大きく影響することは言うまでもない。
感染制御の基本は,「感染の経路を遮断する」ことに他ならず,避難所であっても同様である。
その方法として4つの感染制御策を提示するが,それは日ごろ医療施設内で実施している感染制御策と変わらず,それらを避難所で応用することになる。しかし,避難所に支援に入る多くの医療者は適切な感染制御の対応に必ずしも精通しているわけではない。そこで日本環境感染学会では,感染制御の専門家集団として,避難所への感染制御支援体制の構築を図っている。