食品製造環境において,サニテーション洗浄の目的は,「食品製造加工施設や設備・環境の食品残渣などの汚れ,および有害微生物を除去すること」である。薬剤を用いた洗浄方法では,洗浄の原理に基づいたオペレーションを正しく組み立てなければ,労力を多く費やしたにもかかわらず,期待通りの成果は得ることが困難になる。容器・器具洗浄機は,その簡便さから広く普及しているが,洗浄後の容器や器具が見た目にきれいになっていたとしても,微生物レベルで評価すると,とても衛生的とはいいきれない状態で運用されていることが多い。本稿では実際の食品加工工場における洗浄・殺菌の取り組み事例として,容器・器具洗浄機を活用した洗浄・殺菌方法について紹介し,現場の作業で見落としがちなポイントや所期の効果を得るための留意点について,洗浄のフレームに沿って述べる。