化粧品の防腐力は,保存効力試験によって評価されるのが一般的である。しかしながら,非水系である粉体製剤の評価においては,保存効力試験では手技が煩雑であり,結果のばらつきも大きいため,JIS Z 2911試験法(かび抵抗性試験)を参考にして評価することが多い。我々はJIS Z 2911法のカビの吸引リスクを低減し,定量性も向上させた『防黴試験』を開発した。本試験法は,保存効力試験での防腐力評価結果と同等の結果が得られ,また手技も簡便なため,粉体製剤の防腐力評価方法として有用であると考えられた。さらに,本試験法を用いて原料の栄養源性や防腐剤の不活化度合を評価できたため,粉体製剤の防腐力評価だけでなく,原料の特性把握を踏まえた製剤の防腐設計にも活用できることが明らかとなった。