水処理システムにおける紫外線殺菌装置は,非加熱で消毒副生成物が生じず,他の殺菌プロセスに比べて省スペース低コストで維持管理も容易なことから微生物対策技術として欠かせない単位プロセスであり,加熱やろ過,薬剤などのプロセスと組み合わせて総合的に微生物学的安全性を高めるマルチバリアとしての適用が拡大している。また近年,新しい紫外線光源であるUV-LEDの技術革新が目覚ましく,注目を集めている。
そこで本稿では,紫外線殺菌の基礎的事項について解説するとともに,食品飲料水,上水道,下水道,水産,製糖等の各分野における微生物リスクと制御に関する最新情報とそれに対応する各紫外線殺菌装置について紹介する。また,従来不可能とされてきた透過率1%以下の液体にも適用可能な新しい紫外線殺菌装置やUV-LEDの水処理装置への適用など,紫外線水殺菌を取り巻く最新動向についても併せて紹介する。