大規模な自然災害が発生した際にはライフラインの破壊などにより,食中毒の発生リスクが高くなる。実際,東日本大震災や熊本地震では,避難所で提供された食品を原因とする食中毒が発生している。したがって災害時には,食中毒予防の三原則をしっかりと守る必要がある。
「原因微生物を付けない」ためには,消毒液やウエットティッシュなどを用いて手指を清潔に保つとともに,使い捨て手袋を着用して食品を素手で扱うことをできるだけ避ける必要がある。「原因微生物を増やさない」ためには,微生物に増殖のための時間を与えないように,食品はなるべく早く残すことなく食べる必要がある。また「原因微生物を不活化する」ためには,十分な加熱調理を行った食品を避難所などへ提供することが好ましい。