日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.47,No.9 (2019)

表題:
各種塩類添加による酸性エタノール混合物のヒトノロウイルス代替ウイルスに対する不活化効果の増強(原著論文)
著者:
尾﨑恵太,守屋貴弘,古里宏司,丸山伸司((株)ニイタカ 技術部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.47,No.9,pp.347−353(2019)

この研究は,ヒトノロウイルスの代替ウイルス(ネコカリシウイルスおよびマウスノロウイルス)に対する酸性エタノール(65vol%)混合物および各塩類添加によるウイルス不活化の増強作用を検証するために行われた。0.1Mの各種酸剤を添加したエタノール混合物は30秒間でネコカリシウイルスの感染価を4 log10以上減少させ,クエン酸またはL-酒石酸を添加したエタノール混合物は60秒間でマウスノロウイルスの感染価を4 log10以上減少させた。さらに,クエン酸エタノール混合物に10mMの硫酸塩またはチオシアン酸塩を添加することで,マウスノロウイルスに対する不活化効果の増強が認められ,有機物(牛肉エキス)の存在下においても同混合物は高い不活化効果(30秒間で3.5から4.1 log10の感染価減少)を示した。これらの知見は種々の環境におけるヒトノロウイルス制御に役立つと考えられる。

Key words:
Feline calicivirus(ネコカリシウイルス)/Murine norovirus(マウスノロウイルス)/Human norovirus(ヒトノロウイルス)/Ethanol(エタノール)/Salts(塩類)/Enhancement(増強)/Inactivation(不活化).