日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.47,No.9 (2019)

表題:
食にまつわる有害微生物〜原因微生物の基礎から最新の知見まで〜 [2]
ヒスタミン産生菌
著者:
三好花奈,横山佳子(京都女子大学家政学部食物栄養学科)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.47,No.9,pp.381−388(2019)

ヒスタミン食中毒は食中毒統計では化学性食中毒に分類されている。食品中に含まれる遊離ヒスチジンからヒスチジン脱炭酸酵素によりヒスタミンが生成されることでアレルギー様の食中毒が発生する。本酵素を産生する細菌はヒスタミン産生菌と呼ばれており,腸内細菌科細菌のMorganella morganiiや海洋性細菌のPhotobacterium phosphoreumなどが代表的である。本食中毒の原因食品のほとんどが遊離ヒスチジンを多く含む赤身魚である。ヒスタミンは熱に安定であることから加熱調理では食中毒を防止できないため,食材となる魚類の温度管理が重要である。近年,冷凍流通網の発達によりヒスタミン食中毒は減少傾向にあり,死者も発生していないが,保育所給食施設における事件はほぼ毎年発生しており,多くの患者が発生している。本稿では,食中毒の発生状況,ヒスタミン産生菌の特徴および食中毒予防等を中心に解説する。

Key words:
ヒスタミン食中毒/ヒスチジン脱炭酸酵素/Photobacterium phosphoreum/Photobacterium damselae/Morganella morganii.