シート状化粧品は,不織布に化粧液などを含浸させた特殊な形態の化粧品であり,防腐成分の不織布への吸着や不織布による微生物増殖の活性化,あるいは開封後の含浸液の揮発による防腐力の低下などが懸念される。しかし,従来の化粧料と比較して,シート状化粧品の有効な防腐設計に関する知見や防腐力評価方法に関する報告は少ない。シート状化粧品の防腐技術を向上させる上で,不織布と含浸液中の防腐成分の相互作用や微生物増殖との関連性を理解することは,大変重要である。本稿では,シート状化粧品における微生物汚染のリスクやその対応策,および防腐力評価方法を中心に解説する。