水産食品は,微生物の増殖が早いため様々な加工処理によって微生物に対してストレスを与えて発育を抑制し,安全性の確保と変敗を防止している。しかし,微生物の発育抑制に施される各種ストレスが致死的な強度に達しない場合,微生物細胞は損傷を受けたまま食品に生残してしまうことになる。食品加工においてにストレスを組み合わせた複合処理はその組み合わせによっては殺菌効果が高いにもかかわらず生残菌の中に損傷菌を多く発生させてしまう場合のあることが明らかになった。さらに,不適切なストレス条件では細菌細胞がフィラメント状に形態変化を起こし,従来の平板培養法による生菌数測定では正しく生細胞数を測定できないこと,また,加熱殺菌やその他の化学物質による微生物制御の強度の設定に大きな影響を及ぼす可能性のあることが判明した。