日本防菌防黴学会

学会のご案内

関連情報

  • English

日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.1 (2020)

表題:
東日本大震災被災地における避難施設内真菌叢に関する研究(原著論文)
著者:
渡辺麻衣子(国立医薬品食品衛生研究所),横瀬英里子(PCAT,現(株)あおいけあ),小沼ルミ(地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター),入倉大祐(国立医薬品食品衛生研究所,(株)堀場製作所),小林直樹(麻布大学),角 泰人(PCAT,現医療法人社団実幸会石橋クリニック),原田奈穂子(PCAT,現宮崎大学医学部),大橋博樹(PCAT,現医療法人社団家族の森多摩ファミリークリニック),小西良子(国立医薬品食品衛生研究所,現麻布大学),工藤由起子(国立医薬品食品衛生研究所),高鳥浩介(NPO法人カビ相談センター),矢内 勝(石巻赤十字病院),鎌田洋一(国立医薬品食品衛生研究所,現甲子園大学栄養学部),林 健太郎(PCAT,現Barefoot Doctors Group・国立保健医療科学院)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.1,pp.3−9(2020)

東日本大震災被災地の4避難施設において,真菌叢調査を行った。その結果,室内空気中の浮遊真菌数は,真菌汚染の基準とされる1,000 CFU/m3以上となった施設は無く,ヒト危害性の高い菌種の検出濃度も低かったことから,直接的な健康被害の原因となる真菌の異常発育は確認されなかった。しかし,Aspergillus属菌の菌数および菌種は,一般家屋室内と比較して異常な状態を示し,注意が必要と考えられた。また,避難施設の清掃ボランティアチームの衛生活動と施設内の真菌叢変動との関連性について検討したところ,本活動は,避難施設内の真菌叢正常化に対して一定の効果をもたらしたことが示された。しかし,効果の継続性はなく,定期的な清掃が必要不可欠であることが明らかとなった。避難施設は真菌叢が変化しやすい環境であることを認識し,衛生状態に留意しなくてはならない。

Key words:
Mycoflora(真菌叢)/Temporary shelter(避難施設)/Public health(公衆衛生).