日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.2 (2020)

表題:
損傷菌[10] 加熱損傷菌-大腸菌における損傷・回復機構-
著者:
土戸哲明,坂元 仁(大阪府立大学 研究推進機構 微生物制御研究センター)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.2,pp.57−65(2020)

大腸菌の加熱損傷と修復機構について,著者らのこれまでの成果を中心に最近の知見を交えて解説した。損傷とその修復の実態解明は個々の細胞分子や素子のレベルだけでなく,細胞全体の恒常性維持のためのネットワーク的な制御系と機能分子・組織間の関係性が問題になる。本稿では,①細胞外膜・ペリプラズム,②細胞質膜(内膜),③細胞質タンパク質・酵素,④エネルギー生成系と活性酸素発生,⑤DNA・RNAとリボソーム,⑥ストレス応答系とトレランスの各重要機能分子・組織の損傷と修復について論じ,それらがどのように細胞の生存性に関係するのかについて考察した。これら分子・機能組織レベルでの解析結果を統合的視点から検討することによって,加熱損傷大腸菌の細胞レベルの損傷・回復機構が理解されるだろう。

Key words:
Injured microorganism(損傷菌)/Heat injury(加熱損傷)/Escherichia coli (大腸菌)/Membrane injury(細胞膜損傷)/Protein homeostasis(タンパク質恒常性)/Microorganism control(微生物制御).