逆浸透(RO)膜は医療用水のみならず,超純水や飲料水,下水再生水の製造に広く使用されている。RO膜は細菌細胞サイズより小さい孔径を有するにも関わらず,RO透過水中に細菌が存在することが報告されてきた。本研究では,RO透過水中の細菌の起源解明を目的としてスパイラル型RO膜モジュールを連続運転し,流入側の細菌負荷を変動させて透過水中の従属栄養細菌数変化を調べた。循環流路にUF膜を増設して流入負荷を下げると,運転開始後短期間は透過側濃度も低下し,流入側からの漏出の可能性が示された。また,RO膜による細菌阻止率は消毒直後の5 log以上から経時的に低下した。流入側,透過側の各細菌群の増殖速度を比較した結果,透過側で約4倍大きい値を示し,両者の増殖速度の違いが阻止率低下を招いたと考えられる。以上の結果から,RO透過水では消毒直後には流入側からの漏出細菌が,運転継続すると透過側で再増殖した細菌がそれぞれ優占すると考えられる。