人が摂取する食品や肌に直接接触する化粧品の製造工場では,製造環境の清浄度を常に高く維持して異物・薬品の混入や,製品間の交差汚染,有害微生物による汚染を防ぐ必要がある。化粧品は無菌性を要求される製品ではないが,微生物汚染による品質トラブルは避けなければならない。この衛生状態の維持において,周期的に繰り返し行う洗浄の持つ役割は極めて大きい。洗浄の効率化においては,各種の洗浄力要素をいかに有効に組み合わせるかが本質的な課題となる。本稿では,化粧品製造工程での微生物汚染対策として,食品産業における一般的な衛生管理に関する基本的な考え方を述べた後,微生物を含む有機物汚れの洗浄除去に広く用いられているアルカリ剤,次亜塩素酸ナトリウム,界面活性剤の洗浄力の有効性を解説した。