日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.3 (2020)

表題:
建築物の空気関連の微生物汚染と対策等
[2]建物の空調システムにおける空気の動きと室内空気による微生物汚染
著者:
長谷川兼一(秋田県立大学システム科学技術学部)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.3,pp.137−142(2020)

一般に,建物内では常に空気の流れが生じている。これらは,換気や暖冷房のための空気循環であり,外気を取り入れて室内に供給される。従って,外気由来の微生物は,空気の流れに沿って室内に入り,環境条件が整い繁殖すれば汚染が顕在化する。自然換気のみであれば,室内の環境条件を適切に整えることで,汚染を防除することになろう。しかしながら,空調システムが設置されるような一般建築物や住宅の場合,空調システムそのものが汚染源になる可能性があるため,特段の配慮が求められる。
建物の室内空気環境が適正に維持・管理するためには,空調システムを介して空気がどのように室内に供給され,微生物汚染が発生する可能性がどこにあるかを理解することは重要である。本稿では,①一般的な空調システムの空気の流れを解説し,②中小規模建物の空調システムと室内環境の実態を紹介するとともに,③住宅において観察される真菌汚染の実態を調査事例を通じて示す。

Key words:
Air conditining systems(空調システム)/Microbial contamination in indoor air(室内空気の微生物汚染)/Building and housing(非住宅建築と住宅).