タイのレストランおよび屋台合計30店舗で提供される飲食物の細菌学的品質を調査した。その結果,加熱調理品,未加熱調理品および飲料で生菌数の平均値は各々,4.2 log CFU/g,6.7 log CFU/g,3.2 log CFU/mlであった。また,大腸菌群の平均値は各々,2.1 log CFU/g,4.9 log CFU/g,1.8 log CFU/mlであった。さらに,黄色ブドウ球菌数では各々,2.4 log CFU/g,5.0 log CFU/g,1.5 log CFU/mlとなり,大腸菌群数での結果とほぼ同様の傾向が認められた。また,加熱調理品でセレウス菌数の平均値は1.1 log CFU/gであった。以上のことから,タイで提供される飲食物においては,黄色ブドウ球菌も大腸菌群と同様に,衛生管理の指標として使用できる可能性が示唆された。今回の調査結果は,現地の高温多湿な気候および調理現場での衛生管理の実情を反映したものであると考えられた。