コナヒョウヒダニを用いて,炭素数の異なる分岐型高級脂肪酸及び高級アルコールによるダニ防除効果の検討を行った。殺ダニ試験および忌避試験の結果より,イソパルミチン酸(iso-C16)が濃度6.3%(2.0×102mM)で補正死亡率100%,濃度2%(50mM)で80%以上の忌避率を示し,最も高いダニ防除効果を示した。走査型電子顕微鏡(SEM)による表皮観察より,iso-C16処理後に表皮の紋理模様が消失し,毛根が詰まっている様子が見受けられたことから,皮膚呼吸を阻害する可能性が考えられた。また,iso-C16処理後の毒性症状,ミトコンドリア膜電位差測定の結果より,iso-C16は呼吸系を標的とし,ミトコンドリア膜電位を低下させることでダニ防除効果を示すことが示唆された。また,畳表を用いた簡易実証試験において,iso-C16は濃度13%(4.2×102mM)で生数の減少及び逃数の増加が認められたことから,畳表のダニ防除剤としての利用可能性が広がった。