日本防菌防黴学会

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日本防菌防黴学会誌

Vol.48,No.5 (2020)

表題:
エンドトキシンよもやま話(その3)
リムルス試薬の特異性とリコンビナント試薬
著者:
土谷正和(Charles River, Microbial Solutions)
掲載:
日本防菌防黴学会誌,Vol.48,No.5,pp.205−208(2020)

エンドトキシン試験法に使用されるリムルス試薬の活性化機構に関して,最近大きな進展があった。エンドトキシンに感受性のFactor Cは,エンドトキシン凝集体上で分子間相互作用によって活性化されることが明らかになった。また,Factor Bも同じエンドトキシン凝集体上で分子間相互作用によって活性化され,これらの反応が,リムルス試薬のエンドトキシンに対する特異性を向上させていると思われた。シグナル増幅は,プロクロッティングエンザイムの活性化以降で起こると考えられる。最近話題になっているリコンビナントFactor C試薬は,Factor Cのセリンプロテアーゼ活性を測定するもので,リムルス試薬でFactor Bを活性化する反応とは異なるものである。しかも,シグナルはFactor Cの活性を蛍光で増幅していることから,プロテアーゼや阻害物質の影響を受けやすいと考えられる。実際に,天然水中のエンドトキシン測定で,リコンビナント試薬の結果が低く出ている例もあり,リコンビナント試薬の使用には,更に実検体の測定データを取り,慎重に判断する必要がある。

Key words:
Limulus amebocyte lysate(リムルス試薬)/Endotoxin(エンドトキシン)/Recombinant Factor C reagent(リコンビナントFactor C試薬).