純水を充填したシリコーンチューブをpH調整NaOCl水溶液に浸漬した。透過した遊離有効塩素(FAC)の量は,NaOCl水溶液の非解離型次亜塩素酸(HOCl(aq))濃度と温度に依存した。この結果は,HOClは濃度勾配と温度を駆動力として拡散によって透過することを示した。HOClが収着したシリコーンチューブを純水に浸漬すると,HOClは酸化力を保持したまま純水中に再移行した。さらに,NaOCl水溶液を充填したシリコーンチューブからは,HOCl(aq)濃度に依存して気体状HOCl(g)が気化した。シリコーンチューブを透過したHOCl(aq)とHOCl(g)は,Staphylococcus aureusに対して優れた殺菌作用を示した。本研究で得られた結果から,シリコーンチューブの選択的透過性は,液相および気相に殺菌剤としてHOClを供給する新たな方法として有効であることが示唆された。